【第18回新プチ大賞 受賞作】戦争さえなければ

【第18回新プチ大賞 受賞作】戦争さえなければ

【編集部講評】戦争が終結した後に家族全員を亡くした祖母が遺した作文をもとに、孫の立場から戦争の悲惨さと平和の大切さを描くコミックエッセイ。体験者の遺品や記憶を手がかりに当時の情景を描く難しいテーマに挑戦しているが、読者に80年前の戦争の恐ろしさを想像させるだけでなく、祖母の心情に共感させる工夫が随所に散りばめられている。現代と過去を行き来する構成も見事。この演出力があれば一冊の本としても良い作品になるのではないか。50歳で初めて中学生になったという祖母の生涯にも興味を惹かれる。

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作者紹介
  • てんてこまい
    【受賞コメント】
    この度は大賞に選んでいただきありがとうございます!普段は育児や日常についてエッセイを描いている、てんてこまいです。新コミックエッセイプチ大賞を、好きな作家さんが受賞したことで知り、いつか私もこの作品で応募して賞をとる!…と漫画を描き始めた頃から意気込んでいたので、今回大賞に選んでいただいて本当に嬉しいです。
     作品についてですが、当時、祖母の作文を初めて読んだ時、あまりにも私が知っている戦争のイメージとかけ離れていて、衝撃を受けました。学校の授業でそれなりに戦争について学んでいたし、毎年夏に放送される戦時中のドラマも観ていたので、なんとなく知っている気でいました。でも、祖母の身に起きた現実は、もっと、より残酷でした。この作文を読んだ時、世界情勢が不安定になってきていた事もあり、祖母が体験したリアルな戦時中の話を、より多くの戦争を知らない世代の人にも知って欲しいと思いました。来年は第二次世界大戦終戦後80年になるので、今回の受賞をきっかけに、沢山の人の目に触れるような作品にしていければいいなと思っています。