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受賞者発表

コミックエッセイプチ大賞

今回も多数のご応募ありがとうございました!
応募総数200通を超える作品のなかから選ばれた受賞作を発表します。

お弁当の話

うめやまちはる

【講評】毎日自分と夫のためにお弁当を作る作者が、お弁当にまつわるせつない記憶に思いをはせるコミックエッセイ。在宅ワーク中の夫との何気ない会話を通して、母にあまりお弁当を作ってもらえなかったさみしさ、今は自分のためにお弁当を作れる小さな幸せなど、複雑で繊細な感情を親しみやすいタッチで描いた。やや要素が散慢な印象なので、よりテーマ性をはっきりもたせた作品作りに期待したい。

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隠れ腐女子とその彼氏

まつもとなおみ

【講評】隠れ腐女子のアラサーOLが、自身の“萌え”属性そのままの筋肉ボディをもつ男性と交際することになり、オタク趣味をひた隠しにしながら過ごす幸せな日々をコミカルに描く。旬なテーマとは裏腹の、80年代をほうふつとさせるレトロな絵柄と作風が逆に新鮮で、審査会で注目を集めた。作画面ではまだ粗削りな面も見られるため、より見やすい画面作りと魅力的なキャラクター造形に取り組んでほしい。

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総評

第11回「新コミックエッセイプチ大賞」を開催しました。
リニューアル前の「コミックエッセイプチ大賞」と合わせて通算40回目の開催となる今回は、前回を上回る約200作品を超えるご応募をいただき、『隠れ腐女子とその彼氏』と『お弁当の話』の2作品が入賞となりました。

『隠れ腐女子とその彼氏』は、腐女子であることを隠して生活する主人公(作者)が、ごくごく真面目な社会人である彼氏との日常を描いた作品です。
主人公が付き合っている彼氏は、自身の“萌え”属性そのままの筋肉ボディをもつ男性です。「前世でどんな徳を積んだの?」という主人公の言葉どおり、2人の些細なやりとりからはあふれ出る幸福感がびしびし伝わってきて、読んでる側も幸せな気持ちになりました。
また、オタク趣味をひた隠しにしながら過ごす毎日の小さな出来事のあれこれは、共感を覚える読者も多いのではないでしょうか。オタクならではのやや前のめりなリアクションや言葉の数々、好きなものを人と共有できた時の嬉しさ、などなど、たとえジャンルが異なっていても何かに心底入れ込んでいる人が読めば、思わずニヤリとしてしまうエピソードが描かれています。
そして、審査会でそうしたエピソード以上に話題をさらったのが、80年代(!?)をほうふつとさせる絵柄と作風でした。どんな作品にも言えることですが、絵柄には作者の個性が宿っています。似通ったテーマでも、絵柄によって全然違う作品に見えることは多々ありますし、シンプルな絵柄であっても、線の1本で個性が分かれます。『隠れ腐女子とその彼氏』の一見古くも思える絵柄は、今だからこそ逆に新鮮で作者の個性があふれているという評価につながりました。一方で作画的には「まだまだ粗削りでは?」という意見も出ました。ぜひ担当編集者と試行錯誤を重ねながら、自分にしか描けない個性的な作品に磨き上げていってほしいと思います。

もうひとつの受賞作『お弁当の話』は、毎日自分と夫のためにお弁当を作る作者が、お弁当にまつわるせつない記憶に思いをはせるコミックエッセイです。
在宅ワーク中の夫との何気ない会話から、主人公である作者は自身の過去と感情を蘇らせていきます。小学校の頃の土曜日、午前中授業を終えたあとに学童保育所で食べていたハンバーグ弁当の味。中学生の頃、学校でお弁当を注文するスクールランチで食べた唐揚げ弁当への過剰な愛情。母にあまりお弁当を作ってもらえなかったさみしさ。そうした記憶の断片は、時にとりとめなく、矛盾した感情が立ち上っているようにも見えますが、実は誰にでもそうした経験や記憶はあるのだと思います。
今回の受賞作品を読んで、作者の強みは、複雑で繊細な感情を、親しみやすいタッチで丁寧に描けることだと感じました。と同時に、おそらくこの作品は担当編集者とのやりとりによって、いろいろなテーマに膨らんでいく可能性があるとも思いました。何気ない小さな気づきや感情がどのようなエピソードにまとまり、一冊の作品として仕上がっていくのかが、とても楽しみです。
また、前回の総評にも書きましたが、コミックエッセイプチ大賞では、応募作品そのものだけでなく、エントリーシートの内容も実は大事な審査要素の一つにする場合が多々あります。エントリーシートからは、作者の人柄やサービス精神、熱意が伝わってくるからです。『お弁当の話』のエントリーシートには、作者の熱意と姿勢が丁寧に書かれていて、その点も審査会では話題に上りました。

さて、今回プチ大賞を受賞された方々には、賞金10万円と、編集部より担当が付き、書籍化に向けて動き出すことになります。すてきなコミックエッセイ作品が完成することを心から期待しています。
また、次回の新コミックエッセイプチ大賞では、編集部側の準備が整えばWEB投稿も受け付けたいと考えています。詳細は決まり次第、コミックエッセイ劇場のツイッターアカウントやプチ大賞概要ページにてお知らせいたします。

次回の新コミックエッセイプチ大賞も、たくさんのご応募を心よりお待ちしております。


コミックエッセイ編集部
編集長 山﨑 旬

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